2015年06月07日

聴く力

先日、「サークルさえずり」さんの「読者との集い」
落語をさせて頂きました。


「さえずり」さんは、目の見えない人や見えにくい人、
又、様々な原因で読書に困難のある方たちに、
音訳図書を作成して登録利用者へ発送なさっている
ボランティアグループです。

音訳というのは、例えば本を読んでCDに録音し、
その音を聴いて頂くという事です。
聴いて下さる方を、読者といいます。
普段は、顔を合わす事のない読者の方たちと
「さえずり」のメンバーの皆さんが交流する会が
「読者との集い」です。

番組は、
六花亭春水「つる」
舞寿亭ミッキ「厩火事」
こころ家ゆじん「幾代餅」




落語には、面白くて笑える話ばかりではなく、
人情噺というじっくり聴かせるものもあります。

「幾代餅」は、人情噺です。
このような噺は、場所によっては、
聴いている人の集中力が続かなかったり、
聴く事に疲れてしまっていると思われる場面もあります。

しかし、この日は、会場の空気は緩むことなく
皆様が一語も漏らさずに聴きとって下さっているように
見えました。

「さえずり」の皆様は、普段音訳する時に、
どう読めば皆様に伝わるかと
心を砕いて音訳なさっている事と思います。
自分の読みに対して、いつも耳を澄ましていらっしゃるのでしょう。
読者の皆様は、普段から耳で物語を楽しんでいらっしゃる。
つまり、この日の聴き手の皆様は、「聴く」という事に
トレーニングを積んでいる人たちだったと思います。

以下は「幾代餅」の一場面です。

「鼠小紋の着物に黒繻子の帯を締めまして、
サ~ッと降りてまいりました姿は、
まるで歌麿の絵ぇから抜け出たよぉでございます。」

こころ家ゆじんさんが、こう声に出すと
会場の皆様が頭の中に
「きれいな女の人が鼠色の小紋を着て、
黒い帯を締めて降り立って・・」という絵を描いていると
頭を動かさずにじっと聴き入っている姿勢から感じました。

このような聴き手の方の前で落語をさせて頂けた事は
ありがたかったと思うと同時に、
自分の聴く力を磨いていかなければと感じた
サークル「さえずり」さんの「読者との集い」でした。









  


Posted by みこ  at 22:41Comments(0)落語